牙龍−元姫−




入り口からは死角となっている、一際大きなテーブルにソファー。



店の通常のテーブルやチェアに比べると大きめ。団体様用のためかな?



そう考える響子。



しかし本当に疑問に思ったのは其処ではなかった。










いまだ立ち竦む響子と目があったニット帽の男の子。



響子の方を向いた際にニット帽に付いている数個の缶バッチがカチャンと音を掠めた。





「ああ!きょん姉さん!遅いっす!」





勢いよく立ち上がり響子を手招きするカン太。立ち上がった際、机に打つかりティーカップが揺れる。


仕方なくゆっくりテーブルの方へと足を進めた。





「…ねえ千秋?」

「…知らない」





疑問に思う事を響子は千秋に聞こうとしたが一刀両断。



はぐらかされてしまった。



そんな千秋を訝しげに見つめると響子は不審げに呟いた。





「……どうして2人ともそんなに近いの?」





そう。響子が気になっているのは2人の距離感だった。


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