牙龍−元姫−
千秋は冗談はここまで、と笑いながら私の手を優しく握ってきた。
何で手を繋ぐ必要があるのかと、私は訝しげに繋がれた手を見つめた。
でも珍しく千秋の柔らかい雰囲気に居心地が良かったためそのままにしておく事にした。
「俺行きたいところあるんですけど」
「なら、そこに行こ?」
普段なら私の行きたい場所に連れて行ってくれるし、私の我が儘に付き合ってショッピングにも付き合ってくれていた千秋。
そんな千秋が行きたい場所があるお目当ての店に、少し興味が湧いた。それに久々会ったから千秋の行きたい所に私も行きたい。