牙龍−元姫−



“絶対何か企んでる…! "



そう思いつつも読めない千秋に、響子は珍しく不機嫌さを露にした。



カン太はお爺さん特製カップケーキに夢中で険悪ムードが漂う2人に気付かない。





「立ってないで座ったらどうですか響子先輩?」

「言われなくても座るよ!もう!」





飄々とする千秋に言われて響子は膨れっ面。ボスんッ!と投げやりにソファーに身を預ける。





「…何のようなの?いきなり呼び出すなんて。カン太も居るし」





気分を切り替え本題に入る。



微妙にまだ不機嫌なのは致し方ない。



響子はチラリと前のソファーに座るカン太を見る。



その視線から逃れるようにカン太は焦りながら千秋を見る。



響子はその態度に訝しげな顔をしてカン太と千秋を見た。





「まあカン太はあんまり関係ないですよ。そう言う俺もですけど」

「え?千秋が用事あったんじゃないの?私を呼んだの千秋でしょ?」

「違いますよ。カン太が頼まれた事を俺がしただけです」

「“カン太が頼まれた”?なら私に用事があるのは別の人なの?」

「そう言う事になりますね。その人達が響子先輩に会いたいらしくて――――‥」





呼び出したんですよ


ココ(Noel)に。


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