牙龍−元姫−





―――ちと手助けしてやるかのう。



知恵と寛大さは小わっぱのお前さん等より長生きしとるワシのほうが上じゃ。



どっちかが切り出さなければ終わらないと言うのに、どちらも切り出さない。



エンドレスで続きそうなやり取りに見兼ねたワシは手を貸してやることにした。













紅茶が入ったカップを持ち、カウンターを出ると重苦しい雰囲気のテーブルへと足を運んだ。



ワシに気づいたのか響子ちゃんは俯いていた顔を上げた。



少し不安げな顔色に安心させるような笑みを見せる。





「…サンタさん」

「紅茶じゃ。サービスじゃよ」





響子ちゃんに特別サービスじゃとウインクすると『有り難うございます』と頭を小さく下げられた。



ほほ。やはり律儀な子じゃな。鈴の鳴るような声が心地よかったわい。



他の男らにも紅茶を置いたが頭を下げたのは爽やかそうなプラチナアッシュの子だけじゃった。



こんな雰囲気じゃと当たり前か。











「ワハハハハ!」





ワシは笑った、いきなり。



おもいっきり笑い飛ばしてやった。




「な、なんだよ爺さん」





やたらと可愛い顔をした桃色の男が吃驚した声色で言う。顔には出さんが他の連中も驚いているようじゃ。





「老いぼれは老いぼれでも、ワシはこれでも世話焼きな老いぼれじゃ」





いきなり笑って語り出したワシを怪訝な瞳で見つめてくる。



まあ黙って聞きなさいな。悪い方には傾きはせん。きっとな。
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