牙龍−元姫−
私の頭を手を握ってない片方の手で優しく撫でる千秋。私はその温もりに心が和らいだ。
何も無いことを祈るけど、もしも何かあれば千秋は私を守ってくれるだろう。ただの勘だけど。
「もうちょっとですから」
店なんてある気配のない道をひたすら歩く。
いまでこんなにも恐怖心があるのに、ここは夜になるとドン底の恐怖に陥れられそう。
ここは近づかないようにしようと私は密かに誓った。
「ここです」
私は下を向いていた顔を上げると前を見据えた。するとそこには、―――――アンティークなお店がポツンと佇んでいた。