牙龍−元姫−



眉根を寄せながら言う金色。おチャラけた雰囲気は微塵を見当たらず。しかし、どこか上から目線で偉そうにものを言う。



それが金髪“らしい”のかもしれない。



ただ一点を―――‥。栗色の少女だけを見つめる。



金色とは裏腹に眉尻を下げて不安な表情を浮かべる栗色の女の子。





「嫌い?憎い?……何とでも言え。結局はお前じゃなきゃ無理なんだよ」





栗色の女の子が、幾ら自分たちを嫌いだの憎いだの貶そうが少年らには関係ないのかもしれない。どうせ少年らの気持ちは揺るがない――――――――最後は結局少女を求めてしまう。



言い方は悪いが少女の気持ちは、二の次なのやもしれん。





「―――‥戻ってきやがれ」





金髪の鋭い瞳に射止められた響子ちゃんの瞳が微かに揺らいだ。



捕らえて離さない目。逸らすことは許されないかのように見つめあう。



ワシはちと上からモノを言うのが気に入らんな。そう思い横目で金色に眼やると――――――揺れているのは金色も同じだった。



金色の強い眼差しに強いる言い種。強がりな訳ではないじゃろうに。きっと此れが“金色”なんだろう―――――なのに微かに瞳は揺れを見せる。



きっとその動揺を見せるのが珍しいから響子ちゃんは驚いているんだろう。きっと金色の少年はあまり素直ではない子じゃろうな…。
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