牙龍−元姫−



…いや。そんな筈はない。ワシの長年生きてきたなかで鍛えた、人を見極める目が語っている。



なら何故?と藍色を盗み見る。



キャンディがやけに似つかわしげな藍色の少年。



他には目も暮れず藍色の目は響子ちゃんだけを捕らえていた。



藍色が響子ちゃんを見つめる瞳は先程より幾分優しい―――――――――――ああ。なるほど。









なにも難しいことではなかった。



響子ちゃんだから、か。




その一言だけで納得してしまう。



何もワシの目が狂った訳じゃない。見極め方を誤った訳でもない。







ただ変わっただけ。彼らが。



ただ藍色が変わっただけだった。



響子ちゃんによって。
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