牙龍−元姫−
そして白鷺先生の頭をグイグイと押し退けて、拒絶する藍色。
「突くんじゃね〜って。地味に痛いじゃねえかよ。まあ簡単に言うと響子に姫に戻って欲しいのよ、俺達は」
「姫さんに?」
それでも白鷺先生にきちんと答えてあげる藍色。しかし目線は天井についた灯り。
ボンヤリ、灯る光をみているよう。
一見上の空のようじゃが、意識はしっかり響子ちゃんにある。
ふむふむと頷き「なるほど。」と深く呟く白鷺先生に響子ちゃんが言った。若干顔を顰めて。
「…なんとも思わないの?私が姫に戻るって言われて」
「はへ?なんで?」
「何でって、だって寿々ちゃんは、」
「ちょっ……たんま!」
何かを言い掛ける響子ちゃん。
しかし途中で白鷺先生は、両手を大きく振りストップをかける。
「待った待った!ちょっと待って!何か響子ちゃんも勘違いしてるよ!?………このやり取り何回目?なんで皆誤解してんだろ?」
げんなりと疲れたように悩む。
なんじゃ?一体。
白鷺先生は肩に若干力を入れると意気込むように口を開いた。まるで重大な演説をするかのように。
「――――アタシ、姫じゃない」
空気に、亀裂。
「――――え?」
「――――あ?」
「――――はあ?」
「――――へ?」
「――――ん〜?」
「――――は?」
上から、響子ちゃん。
黒色。金色。桃色。藍色。白金。
それぞれ訝しげな声色を口にした。