牙龍−元姫−



たとえ“姫”に戻らなくたって俺たちがお前から離れる理由なんざねえよ、と目で語る金色。



その金色にワシはコーヒー豆を削る手に力が籠った。










な、なんじゃコヤツ!なぜ急に甘くなる…!



口は悪いが目が甘過ぎる。今はそう言う場面じゃったのか?



響子ちゃんと桃色の会話に入ってきた金色が急に甘くなりおった。み、見とるこっちが恥ずかしいわ…!



そう思い手に力が更に籠った。






ゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリ――‥











「〜ッうっせえよジジイ!ちったあ静かに出来ねえのかよ!?ゴリゴリ、ゴリゴリ!何なんだよ!?邪魔すんなら他所でやれ!」


「す、すまん」





り、力みすぎてしまった。



この空気に耐えきれず思わず耳は会話に集中しとって手に力が籠りすぎたのに気づかんかったわい。



睨み付けてくる金色に恐怖のあまり縮こまった。



しかしそんなワシに味方してくれる白金が天使に見えた。





「いや、遼。このお店はお爺さんのお店だから、出ていくとしたら僕達の方だよ?」





困ったように微笑する白金。



な、なんて健気な少年何じゃ…!天使じゃ!仏じゃ!



大事な会話をしとる時に煩かったワシを咎めとは…!













「次煩くしたら、追い出すけど」



や っ ぱ り か !



ちと年寄りを労る気持ちがないんか今の若者は!年寄りが居てこその今じゃぞ!なんじゃこの扱いは!
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