牙龍−元姫−
教師になってから出逢った生徒はもちろん優等生ばかりではない。劣等生と呼ばれる分類に入る者も多数いる。
しかしそれこそ人間味があっていいと思う。
人間多様な性格があって能力もある。出来ないことがあれば出来ることもある。みんな違うからこそある魅力。
なにも完璧じゃなくていい。努力を惜しまなければ劣等でもいい。その努力はちゃんと誰かがみている。決してこの世に完璧と呼ばれる人は居ないのだから。
―――カリスマ性に優れ老若男女問わず敬意の眼差しで見つめられる彼等も過ちを犯した。
しかし彼等もそれを受け止め前を向いている。
彼女はまるで天使が舞い降りてきたかのような姿に愛らしい仕草で人を魅了している。
その人を惹き付ける魅力は天然者―――そんな人にも苦手なものは1つや2つくらいある。
(そう。)
(例えば運動…とか。)
───────
─────
私は3Aの担任ということもあり“作戦会議”と呼ばれる時間の進行役を務めている。
黒板の前にたち生徒達を見渡す。『いざ青春!』といきたいところだけれどなかなか進まない会議。
それもその筈。
「バカ言うんじゃね〜よ、さっちゃん。手に傷付いたらヤベーでしょ?」
“彼ら”が主導権を握っているからだ。
「え、えと…。そ、そうよね!なら『体』にでも、」
生徒に指摘される“さっちゃん”とは私こと。
『技』を否定されたため、いそいそと違う提案を持ち出すが、
「普通に考えて無理だよね『体』で競うなんて。途中でリタイヤせざる終えないでしょ?」
た、確かに…。
又もやサラッと指摘されながらも妙に納得してしまった。