牙龍−元姫−
「―――もうお前、出なくていい」
漆黒の髪をした生徒が言う。
それは流石に…と反論しかけたとき。
1人の女子生徒が発狂した。
「ッああああ!もう!さっきからアンタ逹うざい!反論ばっかりじゃない!?」
「煩い風見」
「お前に言われたくない!第一、響子に気安く話しかけないでくれる!?邪魔よ!どっか逝け!」
そう。先程から私の案に反論するのはこのクラスの寿君、七瀬君、藍原君だった。
しかし誰も咎めない。当たり前と言ったら当たり前なのかもしれない。
彼ら基“牙龍"はアイドル的集団。このクラスには彼らの下につく者が少なからず居る。彼等に意見する者なんてそうそう居ない。
しかし彼女は別。
彼らと言い合えるのは風見里桜さんだけだろう。
「嫌だ」
「〜〜ッ!響子が迷惑してるのが分からないの!?」
先程から彼らが反論している理由は―――――――野々宮響子さんにあった。我が校の高嶺の華みたいに高貴な存在で憧れの的。
彼等は神無際のメンバー決めで『技』は彼女が怪我をする。『体』は体力的に無理など、様々な理由を付けて反論をしてくる。
なので中々話が進まない。