牙龍−元姫−
「Noel……」
私がボソッと同じ言葉を繰り返し呟いた。Noel(ノエル)って確かクリスマス。
クリスマス=サンタクロースだから‘サンタ’なの?
なんか単純なような気もする…
「響子ちゃんの考えてる通り、単純なことさ」
私の考えを読み取ったのかサンタのお爺さんは苦笑い。単純と言ったサンタのお爺さんだけど――――――――名付けの意味はとても素晴らしいものだった。
誰かに、単純だと思った私を殴ってほしい。
「聖なる夜にはサンタクロースが渡しものをするんじゃ。
子供の家にはプレゼントと夢を置いて。
でも最近の大人は初心を忘れておる。子供だった頃の夢・無邪気さ・希望のすべてが灰色。
ワシはそんな暗い世の中にサンタのように、光を届けたいんじゃ。一筋の光を。
いつ死ぬか分からん老いぼれじゃからな後悔なく死にたいからの。
だからワシは【Noel】で夢を届けるサンタになりたいんじゃよ」