牙龍−元姫−
「……仲、悪いね?」
戸惑いながらも口を開く野々宮さん。
そういえば野々宮さんはこの2人の不仲を知らなかったような気もする…
それに顔を顰めた2人。
「え゙。べ、別にネ〜?毎回響子の見えないところで言い合ってるとかないわヨ?別に響子に近寄るコイツが気にくわないから食ってかかってるとかないからネ?ただちょっと相性が悪いだけヨ?ねえ?このメカオタク野郎が」
「ああ。ただ響子の回りをうろちょろするこの鬼婆をうざいとか思ってねえ。ただちょっと目が合うと言い合いになるだけだ。毎回響子の事で言い合ってるとかない。ただ少し人より相性が合わねえだけだよな、この猫かぶりパンダが」
2人は目を合わせ―――…
「「……チッ」」
仲の悪さは一級品だと改めて思った。
仲がマシになるどころか寧ろ悪化しているような気もした。
「……そっか、」
戸惑いながらも口を挟まずサラッと流す野々宮さんは大人だと思う。
このときばかりは滅茶苦茶野々宮さんに感心した。それと同時に心の中でエールも送った。