牙龍−元姫−
しかしここで反論するのは、やはり彼女だった。
傲慢な女王様も、今の私の目には突如舞い降りた天女に見えた。
「ふざけんじゃないわよ!アンタ達バラけなさいよ!勝つ気あるわけ!?」
「ならそー言う風見ちゃんは何にすんの?」
「私?私は響子と同じに決まってるじゃない」
藍原君に“当たり前でしょう?”と当然のように鼻であしらう。
「でもアンタ達は別。偏り過ぎるんだからバラけて貰わないと響子と私がセットになれないの」
「テメエが離れろ」
「は?意味が分からないわね。どうして私が響子と離れないといけないの?」
眉根を寄せて風見さんを睨む寿君。
離れろと言われた風見さんは訝しげな顔をする。
そして野々宮さんに向き直ると、飛びっきりの笑みを見せた。
「響子は私と一緒がいいわよね?」
「うん。一緒の方が心強いもん」
「なら僕も一緒の方が心強いんじゃないかな。そう思わない?」
「え、えと」
「思うよね」
「…うん」
もはや疑問符がついておらず、無理矢理感満載。
2人同時に話しかけられた野々宮さんはオロオロと前に座る2人を見比べる。
「勝手に話に入って来るんじゃないわよ!響子困ってるじゃない!それにアンタ達と一緒なんて真っ平ゴメンよ!」
「そう?なら響子の事は任せて」
「そう言う意味じゃない!!何で私が響子と離れるのよ!アンタ達が離れたら済む話でしょ!?」
ああ。やばい。
本格的に切れ出した女王様。青筋を立てる風見さんに冷や汗が伝う。
そして、まだ決まらない事項に提出用紙の紙は埋まらない。