牙龍−元姫−
彼らと野々宮さんを引き離そうとする。
寿君は風見さんに見向きもせずに言う。
「嫌だ」
「〜ッ鬱陶しいわね!何なのよ!」
「まーまー?そうカッカすんじゃね〜って」
「誰のせいよ!」
不満満開で勢いよく立ち上がる女王様。
爪に施された派手なネイルの手が木で出来た机を叩く。
――――そして。
ふと思い出したように嫌味ったらしい笑みを浮かべた。
「だいたい響子に最後言われたんでしょ?」
“Noel”って店で。
そう言いながら勝ち誇ったように嘲笑い見下す。
机から手を離し腕を組むその姿は正しく貫禄のある女王。座る彼らを上から見下ろす。
風見さんの言葉にピクリと微かながらに反応する彼等は“Noelで最後に言われた言葉”に心当たりがある様子。
私は“Noel”が何かすら分からない。
だから風見さんは何が言いたいのかさっぱり理解出来ない。