牙龍−元姫−
その瞳はどこか輝いていた。玩具を見つけた子供のような瞳。私に語りかけるわけではなく、薄汚れた世の中に語りかけるように。
「ワハハ!老いぼれの言う事じゃ。余り深く考え――――っ!?」
サンタのお爺さんが驚いてるのが分かった――――――――ああ。迷惑極まりないよね、私って。
でもいまの私は止まらない。この零れ落ちる涙を止める術を私は知らない。
物凄く胸に沁みた。真っ直ぐで只信じる道を歩む、何の捻りもない言葉に。世界はお綺麗だけで生きていける程甘くない。誰かの為にと云いながらも結局は自分のエゴのため。
でもサンタのお爺さんは違った。誰かの為に余生を生きている。苦でもなく、生き甲斐にしている。何故ここまでに真っ直ぐに前を向くことができるんだろう―――?
ひさびさ、だったからかもしれない。
涙が溢れて止まらないのは。
こんなにも真っ直ぐな瞳を見た人は久しぶりだ。
その瞳は確かに、
‘彼ら’に似ているものだった。