牙龍−元姫−
その頃、C組では…
***
あー。腹へった。
朝何も食わねえで家でて来たからなー。
成長期の男子に飯抜きは地獄だ。
因みに俺はバスケ部に所属している3Cの生徒。顔は並み。成績は下から数えたほうが早い。
それなりに恋愛には興味がある。うはうはの青春も体験したい。彼女が欲しいお年頃。因みに淡い恋心も抱く健康男子――――――――――お相手は野々宮さん。
勝算がないとか言うな!
「いつかはきっと野々宮さんだって俺に振り向いてくれる筈、」
「いや。絶対無い」
「…っ!?」
いきなり声かけてくんじゃねえよ馬鹿野郎!ビックリしただろ!
隣の席に座るのはこれまた冴えない男。
せめて女の子がよかった。
隣の眼鏡をかけた男が、俺の呟きを拾ったのか突っ込んでくる。
勝手に俺のいたいけなハートを傷つけるな!
て言うかコイツって確か、
「お前じゃなくても許さん。響子ちゃんは我々の永遠のアイドルなのだから!」
“非公式kちゃんFC”の会員だっけ?
「…ファンクラブか」
「ファンクラブの何が悪い!?響子ちゃんに想いを寄せる健全な男の集い場だぞFCは!」
「非公式だろ」
「くッ!ひ、否定できん!しかしいつかはしっかりと許可をとって活動を…!」
「許可下りないから“非公式”なんだろ?」
「……」
あ。やべ。悄気た。
図星だったのか、絶望の淵に立たされたような顔をするFC会員。
あー。めんどくせー。
こういう、この世の終わりみてえな顔をするヤツの対処法なんて知らねーよ、俺。