牙龍−元姫−
――――眼鏡も朝の光景を知っているのか嘆く。
「彼等がいると彼女が近くで拝めないんだよ!去年は天国だったのに!」
確か、去年は牙龍のガードも無くなり野々宮さんへの告白ラッシュだったよな。
それはもう凄まじい勢い。
彼女の机に入っていた何10枚ものラブレターを風見さんが踏みつけていたのを目撃した事は、今でも俺の胸に秘めてある。
良心が痛むのか胸の前で手を握っていた野々宮さんが痛々しかった。
多分風見さんに逆らえないんだろうな。(気持ちはわからなくもないけど。)
それにFCも非公式ながら表立って活動していたぐらいだ。
―――‥それぐらい彼女の周りは手薄だったということ。
「優しいからな〜、野々宮さん」
何故今更彼等と!とギャアギャア騒ぐ眼鏡に言う。
愛らしい女神を浮かべながらニヤニヤと笑みを浮かべる俺。
不可抗力で妄想が膨らんでしまう。
そんな俺を横目でジト〜ッと怪しい眼差しで見てくる。眼鏡はメガネを押し上げキラリと光らせた。
嫌な眼差しに不快感を露にする。
「…なんだよ」
「変態か、キミは」
お前にだけは言われたくねえ!!