牙龍−元姫−
ガラスの靴
***
「あ〜楽しかった〜!」
「そうだね」
寿々ちゃんと歩く夜道。
あの真っピンクの外観をしたメイド喫茶【らぶりん】を去ってから数分は経つ。
スリム君は“いまからラーメンを食べに行く!”と店を出ると直ぐに別行動。
そんなスリム君を見て“糖尿病になる!”と寿々ちゃんが止めてたけど、振り切って行った。
それに伴い早苗と里桜は2人で2次会をやると何処かに行った。
亜美菜ちゃんはお姉さんの真菜美さんと帰宅。サインを抱き締めて嬉しそうにしていた。挨拶をして別れたばかり。
「亜美菜ちゃんに白鷺千代さんだってバラして大丈夫だったの?」
「ん〜。不可抗力かな?猫田があっさりバラしちゃったし」
…それもそうだよね。
サインを書いた辺りから、ずっと思っていた疑問を投げ掛けたけど寿々ちゃんは笑い飛ばすだけ。
あっさりしているのは寿々ちゃんのほうだと思った。
「アタシが白鷺だってバラさなきゃそれでいいかな。亜美菜ちゃんはそんな子じゃなさそうだしね〜」
寿々ちゃんは横断歩道の白い白線だけをぽんっぽんっと踏んで歩く。
そこまで気にしていない様子だった。