牙龍−元姫−
『踏んでんだよ』
『……踏んでる?』
顔を傾げる。何を?
足を見れば、ゴリッと音がした。
小さな何かが靴の下から覗く。
『…ネジ?』
『俺の』
『これどうするの?』
『観賞』
―――思えば昔から戒吏は不思議なヤツだった。
無表情の顔を崩さず、器械を見ている顔は真剣そのもの。
はじめは何かのギャグかと思ったけど素らしい。
変なとこに無頓着で、変なとこで執着をみせる、正しく変人と呼ぶに相応しいヤツだった。