牙龍−元姫−
それにしても。
「橘さん、どうしてここに?」
「ここでお茶してたら桃子ちゃんが居るの見つけて変なヤツに絡まれてたから助けに来たのさ!」
正義のヒーローみたいでしょう?そう笑う橘さんに素で良い子なんだな、と思った。里桜の勘違いだよ。悪い子には到底見えない。
この子は結構後先考えずに突っ走りそうだよね?今もそう橘さんは外見に似合わず、お転婆な子みたいだ。
「桃子ちゃんひとり?なら一緒にお茶しよう!」
「え。でも…」
「あ、皆いるけど気にしないで!ガールズトークしよう!いっぺんガールズトークって言ってみたかったんだ!ぐふ、ぐへへへへ」
怪しい笑みを溢し何か呟いている橘さん。――――しかし。私の思考は別のところ。
『皆いるけど』
み ん な ?
まさか、ね。
でも、勘違いとは考えずらい。
「……どうしよう」
小さくボソッと呟いた。不安と焦りで胸がいっぱい。次は別の意味で頭が痛くなった。ぐらぐら揺れる。絶対に今日は厄日だよね。
千秋
―――ちあき、
早く戻ってきてよ、ちあき
私は彼等に会って平常心でいられる?
堂々と胸を張って彼らの前に立てるの?
答えは、No。