牙龍−元姫−
コンプレックス
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「だから今日逢えたことが奇跡のようなの。繋がりなんてその手紙ぐらいしかないし思わず泣きそうになっちゃって…」
早苗との出逢いから別れまで事細かく話した。
途中で里桜が出てきたときには、「中学からの付き合いかよ。」と右隣の戒吏が悪態付いていた。
里桜もだけど早苗も大切。
だからどれだけ今日と言う日が嬉しかったのかを伝えながら満面の笑みを浮かべていると―――‥
「ちょっと待ってくんねえ?」
突然蒼が話に入ってきた。
「なぁに?」
「半ばで誰か男出てきたじゃね〜の」
蒼以外の4人はピクリと反応を示した。隣に座る遼と戒吏は近くにいるため分かりやすかった。
「林君のこと?」
林君は私の恐怖の対象の1人。
背が低めのわりに大きめな胸がコンプレックス。更にそのコンプレックスを意識させる歯車を回した人物が林くん。
あれから私は胸を抑えるサラシを巻いていたぐらいだった。だけど痛くて苦しいから直ぐに断念。
「そうそう!アタシも思ったよ!巨乳の響子ちゃんを厭らしい目で見てたんだよね!林くんって人!」
「ちょ、寿々ちゃんっ」
止めてほしい、切実に。
私は寿々ちゃんを止める。
巨乳とか言わないで欲しい。それも皆がいる前で。仮にも異性が5人いる所で胸の話なんかしたくない。話すだけでも恥ずかしかったのにわざわざ掘り返さないでほしい。
「えー!何で!?林君の事ムカつかないの?林君なんてMr.HENTAIじゃん!」
「そ、それは…」
ムカつくより二度と逢いたくない人。彼は私のブラックリスト要りしているから。
Mr.HENTAIと言った寿々ちゃんに「もっと貶せばいいのに」なんて思ってしまった私は、自分が思う以上、
林君を憎悪している事を改めて分かってしまった。