牙龍−元姫−
「許さん許さん許さーん!よくも響子ちゃんのぷるるんを汚してくれたな!あのぷるるん具合は気安く触れていいもんじゃない!」
「お前も触ってただろ」
キレる寿々ちゃんに戒吏が言う。無言で全く反応なかったけど見てたのか、と思った。
それと触る触らない以前に私からしたら“ぷるるん”って止めて欲しい。聞いてるだけで恥ずかしい。
「も、もういいよ。林君とは会ってないから、」
これは本当。中学卒業してからは会ってない。だから……と懇願の眼差しを向ける。
「――チッ」
折れた戒吏はソファーに戻ってくれた。
皆イライラしているのか殺伐とした雰囲気。
〜〜ッ林君のせいだよ!貴方の知らないところでかなりヤバイ事になってるよ!?
二度と会わない事を私は祈った。
――――話を反らすために部屋を見渡す。
「ねえ、遼」
「あ?んだよ」
くいくいっと左隣の遼の服の裾を引いて呼ぶけど、まだ機嫌が悪いのか眉根を寄せている。