牙龍−元姫−

憧れの白雪

〔AMINA SIDE〕




今年度最高気温を記録したらしい今日この頃。



夏目前ということもあり、かなり暑い。



此所は3年女子専用更衣室。



この更衣室は結構広い。そこは流石神楽坂と言いたい。



確かに広々と使えて密集はしていないけど、クーラーが壊れいるため蒸し暑い。










「あつい…」

「大丈夫?響子」

「ん…」

「大丈夫ではなさそうね」





私の隣に居る響子さんがボーッと暑さに堪えている。



さっきから、ずっとこんな様子。



響子さんは暑いのが苦手らしい。肌が白いし日向にはあまり出ないのかな?と結論付ける。





「……暑い」





暑さに項垂れる響子さんを見て、じわじわと暑さが襲う更衣室にて私も呟いた。





「確かに暑いわね。チッ、どうしてクーラーくらい直しておかないのかしら」





頷き、学校側に文句をつける風見さんはゴールドベージュの髪をグシャグシャと掻き毟る。



そしてブルーのワイシャツの襟元で結んであるネクタイを緩めて、バサッとシャツを脱いだ。





「…わ」

「何よ」

「い、いえ。引き締まってるな…と」





思わず心の声が出た。風見さんのプロポーションに目を奪われたから。



出るとこも出てくびれが引き締まっている。何より腹筋が凄い。細いのに。小麦肌が更にそれを引き立ている。





「当たり前でしょ」





腰に手をあて威張る風見さん。



普通なら上から物を言われれば、イラッと来るけどこの人の場合それがない。何故か納得してしまう。




「里桜ジム行ってるもんね?」

「ええ、勿論。体型維持は怠らないわ」





この人の場合は相当の努力してこその美だからイラッとこないんだろうな。



モデルさんみたい…と思う私の裾を掴んだ幼なじみのりっちゃん。こそっと小声で耳打ちされる。





「亜美菜!何で普通に喋れんの!」

「何でって…」

「私無理。場違いだって…」





ああ!と頭を抱えるりっちゃんはさっきからずっとこんな様子。



私達がこの更衣室に来たときにはもう既に居た響子さんと風見さん。
二人に呼ばれて今一緒に居る。



りっちゃんの気持ちも分からなくもない。はっきり言えば私もそう思ったから。
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