牙龍−元姫−




全体的に細いのに何故かムチムチして見える。腕も脚も太もも全てが。はっきり言って…エロい。





「天は二物を与えずなんて嘘じゃん」

「…はは、」





りっちゃんの言葉に苦笑い。確かに、と納得する。



そして周りを見るように託される。小首を傾げながら見ると…





「…あ」

「みーんな野々宮さんに釘付けじゃん」

「…そうだね」





そう言われて気づいた。チラチラと伺うように見つめてくる多数の目。四方八方から降り注ぐ眼差し。


いま私がこうして一緒に居られる事が不思議なんだと改めて実感させられてしまう。





「黒の下着?なんかエロいよね里桜って」

「アンタだけには言われたくないわ。白とピンクなんて男が喜ぶやつ着てるくせに。誘ってんの?」

「そんなつもりじゃないからっ」





風見さんの言葉に響子さんは慌てて否定する。私も白はそそると思った。特に響子さんなら尚更。



履いてるスカートの少し上から覗く白いお腹。あんなに細いのにあの胸のデカさがどこから来るのか知りたい。是非とも食生活をお聞きしたいです。



まず響子さんはお腹の肉がスカートに乗っていない。私と違って。





「亜美菜?急に溜め息なんてどうしたの?」

「響子さん見てると自分が惨めで…」

「はあ?馬鹿なの?野々宮さんと比べる事態間違ってるし」





それは言えている。



呆れたようなりっちゃんに私は納得してしまう。





「誰でもそう思ってるわよ。ねえアミ?」

「え!?は、はい?」





自分の体型に葛藤していると突然風見さんから話を振られた。訳も分からず曖昧に頷いた。





「亜美菜ちゃんが裏切った…」

「え、ええ!」





響子さんが私を非難する。慌てて響子さんを見るが、若干涙目。ごめんなさい。全く話が見えないです。誰かヘルプミー!



私や風見さんではなくりっちゃんに寄り添う響子さんを見てあわてふためく。懇願の眼差しを風見さんに視線を投げる。





「無意識に男を誘ってるっていう話よ」

「だから違う!」

「ほら。それよ」





頬を膨らませた響子さんの頬をつつく。(私も触りたい…!)



確かに響子さんの存在自体も動作も男心を擽るものばかり。





「里桜だって色んな人誘惑してる」




拗ねたように言う響子さん。尖らす唇がプルんとして突いてみたくなった。
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