牙龍−元姫−
















――――――「迫力、あったね」





りっちゃんは彼女たちが去った後溜めていた息をついた。あの2人のオーラに圧倒されたらしい。





「りっちゃん大丈夫?」

「…亜美菜よく平気だね」

「りっちゃんだって風見さんと喋ってたじゃん」

「まだ彼女は大丈夫だったけど、」




少し躊躇いながらりっちゃんが言葉を濁し口を閉ざす。



少しだけ間を開けてから言い掛けた言葉を繋げた。





「…野々宮さんが怖い」

「怖い?」





どこが?生粋の天使だよ?



私は小首を傾げた。





「…あの独特の雰囲気に呑み込まれそうになる。吸い込まれそう。あんな人間近で始めてみた、」





りっちゃんの言葉には深く頷き納得した。



だって私も初めはそうだった。





「慣れれば大丈夫だよ」





響子さんの一喜一憂が可愛くて、呑み込まれそうになる前に自分の世界に入ってしまうから。
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