牙龍−元姫−




切迫感のある空気が私達の間に流れる。気まずい。気まずくしたのは私だけど…



辺りには生徒の話し声が聞こえる。賑やかでお祭り騒ぎのよう。



でも私と戒吏は静かだった。



本当に、静かだった。異様なまでに。



戒吏と居るのかさえ疑ってしまう。しかし繋がれた手が隣に戒吏が居る事を指し示している。



ただ握られている手に少し力を込めれば更に固く繋がれる手。戒吏が手を強く握り返す――――――――それにホッとする自分が何処かにいた。






少し、



ほんの少しだけ、



私達の空気が和らいだ時、



多数の叫び声が校庭を駆け巡った。




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