牙龍−元姫−










―――――――
少し歩いた所で戒吏の一連の言動行動を思い出して顔が赤くなる。



一気に羞恥が襲い掛かってきた。



平然と立っていたけど気を抜けば今にでも崩れ落ちそうな程に脚の力が脆かった。





「好き、か」





好き、好き、すき…



スキってなんだろう…



わたし、戒吏のことを、“スキ”だったんだっけ?…よく分かんないや。





疎い気持ちに空回りする。



少し俯きながら歩けばピンクのラインが入った白のシューズが目に入る。



こうやって、前に進もうと思えば簡単に進めるのに…



気持ちは中々そのスピードに付いていけない。
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