牙龍−元姫−



「戒吏も遼も蒼も庵も、きっと助けに来てくれる」

「…」

「空?」

「…響子って期待させて落とすタイプだよな」

「?」





首を傾げると溜め息をつかれた。



呆れた空は立ち上がり、私の手を引っ張り立たせてくれる。



そして思い出したように言う。





「これから何か出んの?」

「…うん。イヤだけど」

「嫌なら出なくていいじゃん。響子が出るとか危険だし」

「駄目だよ。罰則くらっちゃう」





意外と厳しい罰則。決して出場は避けられない。
寧ろ高熱でも出して倒れたほうが楽だったりする。



何個も出る人だって居るんだからそれに比べれば私なんてマシだ。





「なに出んの?」

「えっとね…」





一番楽そうな選んだものを言おうとしたが、



口に出す事はなかった。
















――――――野々宮さ〜ん!






遠いところから私を呼ぶ声が聞こえたから。



声の先を辿ると黒渕眼鏡を掛けた女の子が私を呼んでいる。





「あ、委員長だ!委員長呼んでるから行くね?」

「おう。気をつけろよ?俺戒吏のとこ居るから」

「うん」
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