牙龍−元姫−





野口(ノグチ)と言うのは、委員長の名前。彼女とはそれなりに仲が良い。名簿が前後と言うこともあり私なんかと仲良くしてくれる。





「…最初のルールと違うし」






隔てなく皆に親切で、人望も厚い委員長は眼鏡越しに目を尖らせて教師の後ろ姿を見つめる。



ルール説明で

“苦境は自分で乗り越えてみせろ!人の手を借りても猫の手を借りても失格と見なああああす!”

とか酷い事を広言していたのに。





「きっと先生が寿君に何か言われたんじゃない?」

「戒吏に?」

「うん。野々宮さんがカエル見て涙目になった時点で寿君、先生を睨み付けてたし」





そんな事してたんだ、と若干呆れ気味で戒吏を見る。



戒吏は平良君達を押し退け此方に向かって歩いてくる。
私は近づいてくる戒吏をボンヤリ見つめた。
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