牙龍−元姫−
「にしても総長、よく響子さんと居られますね?横に風見さん居るじゃないっすか」
「確かに。風見さんガードつえーよ。響子さんに近寄ると威嚇してくるしなぁ?」
「あの睨みパネえわ」
―――私?突然出てきた自分の名前に眉根を寄せる。
それと同時に興味も沸く。
あの男が私をどう思っているのか。
それは前々から疑問に思っていた事だ。
「―――風見か」
何かを思案したように呟く声が微かに聞こえる。
この木陰からあの男が居る場所はそれ程距離はない。
だけど隠れている私に気づく事はないはず。