牙龍−元姫−


「ちょ、ちょ、ちょっとー!桃子ちゃんに何言ってんのさ!失礼極まりない!心が狭いから背が伸びないんだよ!?空たんたん!」

「お前は黙ってろよ」




謝罪を要求する橘さんの言葉をバッサリと切り捨てる。空なりにもう仲間が傷つかないように守っている。分かりにくい優しさ。仲間を傷つける私は彼にとって――――――ただの要らない存在でしかない。







「さっさと失せろよ」





――――――でも傷つかないわけじゃない。私だって人間だもん。感情だってある。喜怒哀楽だってある。今は【哀】が剥き出し。表には絶対に出しはしないが。



こんなにも、人の憎悪が苦しいなんて。










「―――おい」

「戒吏は黙ってろよ」




仲裁に入ろうとする総長。



決して私を守る為の仲裁ではない。彼が暴れだすのを止めるため。意外にも彼は短気だから。この中でも一番キレやすい。
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