牙龍−元姫−
残りの牙龍の三人は事の成り行きを見守っている。口を挟んで来ない。私としてはそれが有り難かった。これ以上傷つきたくない。



庵だけは、私に何か言いたそうだけど無視する。目を会わせると厄介なことにそうだから。










空は響子を睨み、響子はどうしようかとオロオロ迷いながらも、只突っ立つ。


空の腕を掴み抑えるのは戒吏。


蒼衣はただタバコを吹かしながら視線は明後日。


何を考えているのか分からない程真剣な瞳をする遼太。


そして事の成り行きを見守る庵。


寿々は桃子(響子)を睨む空を睨みつける。












―――――――こんな険悪ムードの中で彼は現れた。良くも悪くも彼の存在が険悪な場を一時的にでも治めるのには有り難いと響子は思った。







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