牙龍−元姫−





「…意味わかんねえ」





なのに遼は私が持っていることを否定する。





「お前、なに?」





急に冷たくなった、瞳。



収まりつつあった苛立ちが再び沸き上がり始めた。



遼の名前を呼ぶけど、それを鼻であしらい椅子から立ち上がる。
拍子にガタッと鳴った音が恐怖心を煽る。





「何で持ってんだよ」





何かに嘲笑う。不気味に笑い首を傾げる遼。傾けた拍子にジャランと銀色のピアスがぶつかり、鳴らした音に私の恐怖心はピーク。



こわい。遼が、怖い。



しかし…



急に笑って居た顔を苦しそう歪める。私はそんな遼が心配になり手を伸ばした。





「なんで、持ってんだよ…ッ」

「……ッ!」




――――――――伸ばした直後に視界が反転。
声に鳴らない悲鳴を上げる。



伸ばした手を掴まれ、押し倒された。勢いよく倒されたためほんの数回ベッドが弾んだ。
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