牙龍−元姫−
「響子」
声が、する。
ひらひら、儚く舞う落ちる花弁。
いつのまにか白い床によく栄えるパステルカラーの花弁が床に散りばめられていた。
蒼の手によって残酷に千切られた花弁が儚くも綺麗に床を色鮮やかに彩る。
その残酷な指に目が釘付けになる。
そして花弁からゆっくりと手を離せば宙へ浮かび数回、手招きする。
『おいで』
私を、手がそう呼ぶ。
ペタリ、
一歩踏み出せば素足が床を鳴らす。
『早く』
ペタッ―――‥
ペタッ―――‥
ゆっくりと
引き寄せられるかのように窓際へと歩み寄る。
自然とドアから離れ窓際へと足が動いた。