牙龍−元姫−
「…ジャージ、羽織る」
「暑くねえ?」
「暑いけど…仕方ないよ」
顔を歪めたまま頷く。
歯形とキスマークらしき赤い跡は白い肌にはよく栄える。
それは意識せずとも、目を奪う。
このままじゃ流石に隠すしかない。
わたしの言い分に蒼は「へ〜」と呟き納得したように頷くと、やや目を細めて赤い跡を観察するように見つめてきた。
「隠すなら一つも二つも変わんね〜よな?」
「え?」
いきなり耳に息が掛かりゾクッと身震いする。
耳元でわざとらしく低く艶っぽい声を出す蒼。