牙龍−元姫−
それに更にイライラした様子の蒼。ここまで蒼を腹立たせる強者が誰なのかと私の興味心を煽る。
蒼も庵と同様苛つく事があまり無い。庵は温厚派だからだけど蒼は違う。
苛つく事で無駄な体力を消費するのを嫌うから。
だけど一度苛立つと要注意人物になる一人だ。
蒼を苛立たせるヒトは勇気があるな〜…と他人事のように窓の外を見つめる。
ガチャン!
窓の鍵を又も乱暴に開け窓ガラスを横にスライドさせた。
ガラガラガラガラ――――‥
開ければ生温い風が肌を撫でる。暑い陽射しに涼しい保健室が天国のように感じた。
しかし徐々に開く窓は…
最後まで開く事はなかった。
“パアーーーーッン!”
何かが勢いよく弾ける音がして、
蒼の手が止まったから。
同時に蒼も固まり、私も固まった。
爆発音のような弾ける音に心臓が驚く。高鳴る鼓動を抑えるため、胸元に手を添えた。