牙龍−元姫−







「………平良、君?」





窓の外を見てゆっくり首を傾げる。私の呟きを耳にしたのかビクッと肩を大きく揺らした鼻眼鏡の人。




平良君だよね、あれ。





え…



何やってるの…?






「『わ、我は神様の僕(シモベ)!』」

「(どう見ても平良君だよ…)」





分かった途端平良君としか思えない。よく聞けば声もそっくり。姿も瓜二つ。と言うより平良君自身なんだから当たり前だ。



相当蒼が恐いのか庭木の傍から離れない平良君は少し遠めところから叫んでいる。



その変な格好は演劇部から拝借したもの?



…何でそんな格好をしているのか不思議で仕方ない。
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