牙龍−元姫−
変わる、何か
――――ドーナツ店から響子達が去ってから小一時間。彼等はまだ店内に居た。
馴染みのある店だからか客は減っては増えての繰り返し。女子高生特有のきゃあきゃあとした甲高い話声が耳を掠める。
小学生はピコピコと通信ゲームをしているのか時折、うおー!!と言う歓喜の雄叫びや、くそー!!など悔しそうな声が響く。
『いらっしゃいませー!』店員さんの元気な挨拶が店に響く。また新しい客が入ってきたらしい。本当に客層は幅広い。だけどドーナツだから店内には女性が目立つ。
増える客足に比例し賑わう店内。店員さんも忙しそうにバタバタと動き回る。客も自分たちの世界に入っているから、気がつかないんだろう。
"彼ら"のことに――…
全員無言。いや、一人例外でドーナツを食べているが。各々何かを想っているのか心ここにあらず。気が付いている人もちらほらいるが彼等の雰囲気に騒げない。
あきらかに"負"のオーラ
見かけた人は必ず思うだろう。
【牙龍の人に何かあったのかしら?】