牙龍−元姫−
―――――白夜はゆったりとした動作で口元に当てていた指先を宙に翳し、ハラハラ落ちてくる葉を掌で拾う。



僕はボーッとその手を見つめる。





「私はそんなに気に止む事でもないとは思うがね。響子ちゃんも気にしてはいないだろう。だけど君は…」





落ちてきた葉を掌で拾い、平行に保っていた掌を傾け―――葉を、落とした。





「お姉さんが大事だから、後ろめたさを感じてしまう」





ハラハラと波を描き、不定に揺れながら落ちる葉。





「(……あーあ)」





ちー君も揺れちゃったねェ?














遠ざかるちー君の背中を見つめる。


後でちー君の機嫌を取るのは大変なんだからねェ?何しちゃってんの馬鹿白夜!いっそ海蘊(モズク)になっちゃえ!



銀色一色に染まる髪が、僕の知るちー君じゃないように錯覚させられる。



なーんか…ちー君神楽坂に行って変わった…かも?
何かモヤモヤしてスッキリしないなァ。
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