牙龍−元姫−



ふと並木道を歩いていると誰かは分からないが目に止まった。よく目を凝らして観察すると――――――――――見知った人物だった事に小首を傾げる。





「あれ?」





それは千秋だった。





誰か居たため様子を伺っていたけど千秋だと分かり近づこうとした。


が直ぐに物陰に潜む。



隠れる必要はないかも。



しかし条件反射だった。



千秋の隣に居るひとを見た途端、脳内にサイレンが鳴り響いたから。









「………嘘」





目を見開き、口元を手で覆う。目の前の光景が信じられずに小さく呟いた。



あの"春"の人が居たから。



なんで?どうして此所に?千秋と一緒いる意味が分からない。



だって千秋は……
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