牙龍−元姫−



独特な雰囲気は早々居るものではない。あの笑顔の裏に隠された狂気の沙汰ではない謀の数々。



人を従える事は一級品。優れた頭脳と有り触れた知識を兼ね備えた文句なしの人。
ただ性格を除けば、の話だけど。



黒髪に入れられた白のメッシュは相変わらず。白髪だと罵っていた頃が懐かしい。今は珍しく制服姿。何を考えているのか分からない笑みも、健在。





黒い彼は不気味。

白い彼は朗らか。





だけど本当は灰色。不透明で何にも染まらず常に一定。黒×白で出来た灰。ただ我が道を行くだけの自由放漫な彼。



彼に目を奪われると同時に不安定な心が更に揺れる。



初めて不気味な灰色の彼を見たとき誰かに似ていると思った。それは千秋だったのかもしれない。













久しぶりに逢った灰色の彼は
千秋と、春のヒトとも、
どこか似ていた―――――‥。
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