牙龍−元姫−
「なんで桃子?」
俺は不思議に思っていたことを尋ねる。きっと『騙された』と空は思っているだろうけど、俺は思わない。
彼女がそんな嘘をつくの?いや、それはない。ならどうして…?
「むふふ。ギャルゲーの桃子ちゃんて可愛いよね」
…………は?
「まさかこんな近くに桃子ちゃんがいるなんてね!神楽坂に入ってヨカッタ!でももっと早く会えてたら毎日イケイケパラダイスだったのにぃ!」
………いま何て?
「おい今何て言った」
珍しく戒吏から尋ねた。
俺は確実に目に見えるほどに動揺しているだろう。その点、戒吏はそんな素振りみせないのは流石。
普段表情を表に出さない蒼でさえタバコを落として唖然。
遼は予想していたのか『アホかコイツ』と言う様。
空ただ口をあけ目を開けポカーンとアホ面。