牙龍−元姫−
私は買ったものが入ったスーパーの袋を手に持って、慣れ親しんだ道を歩く。
「…重っ」
買いすぎたかな、と後悔。ただ私の力がないだけなのか、単純に量が重いだけなのかは分からない。
私は重いスーパーの袋を両手で持ち、薄暗い道を歩く―――――――――――が、此処で問題発生。
――コツコツ
――――タッタッ
微かに私の足音に二重して聞こえてくる足音。
付けられてる…
意外にも冷静だった。
焦るよりもどうしようかと言う事が頭に浮かぶ。このままマンションまで行くと家を知られる。
そう考えた私は一端、深呼吸して袋を強く握りしめ鞄を落とさないように持ち直して――――――――――全速力で走り出した。