牙龍−元姫−
急に猛ダッシュで走り出した私に慌てたのか慌てて走り出す後ろにいる"誰か"
私は後ろに気配を感じながらも、全速力で走る。
「はぁっ。キツ――っ」
もともと持久力なんてものは持ち合わせていない私。息が上がり、足がガクガクとなり前に倒れ込みそうになるのを耐える。
私は上がる息に耐えながらも目と端の先にある曲がり角を曲がり直ぐに止まる。
もともと逃げるつもりはない。逃げ切れる確率も自信もないから。
―――タタタタッ!!
私を追いかけているのか、急いで走っている音が段々と近づく。曲がり角で"誰か"の影が見えたとき私は足を伸ばした。
「え、うわぁッ!」
引っ掛かるかは分からなかったけど私の不安を消すように"誰か"は私の足に足をとられ見事、派手に転けてくれた。