牙龍−元姫−
理解できなかった顔をしていたがカン太は遅くも理解した瞬間、慌てた。
「ちっ違うっす!オイラの独断でっ!」
あわわっと慌てるカン太。私を納得させるために、あーだこーだ何か言っているが慌てすぎて何を喋っているのか分からない――――――――信じていいのかな?
「ほんとに?」
「ほんとっす!それに………」
ブンブンと顔を大きく上下振り続けるカン太。痛くないのかな?私なら痛い。次いで何かを言い掛けて躊躇う。しかし決心したように私の目を見た。
「最近は溜まり場行ってないんす……」
行ってない?
あの溜まり場が大好きなカン太が?いや、たまり場と言うよりも牙龍が好きなのかな。
『牙龍はオイラの家族でたまり場は家っす!』
三度の飯より牙龍が好きなカン太が、牙龍に行ってないなんて。
「最近というより、きょん姉さんが来なくなってからでヤンス…」
「わたし?」
「オイラはきょん姉さんが居ないと嫌っす!」
突然出てきた私の名前に驚いた。カン太の熱い想いが胸を突き抜ける。