牙龍−元姫−
「違うっす!きょん姉さんは裏切り者なんかじゃないっす!」
『違うっす!どうして分からないでヤンスか!きょん姉さんは裏切ってなんかないっす!』
最後の最後まで、カン太は私の味方だった。なのに今でもこうして私を庇ってくれている。
「なんで笑って…」
「ふふっ!」
確かに今は笑う場面じゃない。寧ろシリアス真っ最中なお涙を頂戴する場面だろう。
でも堪えられない。
笑みが、嬉しさが。
溢れて、溢れて――――滲み出てくる。
「変わってないなって!ふふっ、カン太らしいね」
「――――」
「カン太?」
「――――……変わってないのはきょん姉さんもっす」