ルーズリーフ
「風邪ひくよ?」
小さく微笑んでそう言う彼
「・・・私も、そう思います」
彼は、驚いた顔をしてから
小さく噴き出した
「キミ、面白いね。
家どこ?送ってあげるよ」
「・・・いえ、結構です」
そういうの、メンドクサイ
「・・・じゃあ、はい」
彼は、私にビニール傘を渡すと
何も聞かず走り去って行った
「あ、ちょっと・・・!」
これ、どうしろと・・・
さっき買ったばかりのような
ビニール傘
私はそれを一回回転させると
それを差したまま家へと帰った
「ただいま・・・」
「おかえり~、って
どうしたのそれ!
上から下までずぶ濡れ!」