獣は禁断の果実を蝕むのか。

そっか、寝不足と空腹で倒れたんだ。


まだボーっとしている思考回路は、会議や資料とか。


時計は3時16分を指していること。


その先を考えることすら忘れている。


ふと、視界に入ったテーブル。


お弁当らしきどこかで見覚えのある黒い箱が置いてあって、その上にメモ用紙が一枚。


スッとメモ用紙を手に取った。


『業務命令です。』


その一言で、やっぱり専務だって分かった。


たった一言なのに。


その一言が、今は心に染み込むように、温かくてうれしい。


専務、本当はいい人?


仕事に厳しいだけで、本当は優しかったりするんだ。


なんて、見ることもないだろう専務の照れくさそうな顔を勝手に想像してみて。


口元が緩んでしまう。


箱を開けてみると、中身はやっぱりお弁当。


しかも、これって。
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