獣は禁断の果実を蝕むのか。
まあ、昼間、専務にあんなことされたから。
早くここから解放されたいだけ。
怒りのパワーが、私をこんなに落ち着かせてくれている。
いくつかのファイルの下に、白く曇りがかったファイルに、何枚かの書類と一緒になってパスワード一覧があった。
そのまま、部長のイスに座ると、パソコンの電源を入れて。
すぐにパスワード入力が出て来た。
「部長は…」
小さくつぶやきながら、パスワード一覧を指で追いながら確認して。
『kyu ju』
九重を違う読み方にしたやつなんだ。
なんて、変な所で感心している場合じゃない。
パッと明るく開いたデスクトップ。
その瞬間、思わず目をそむけてしまった。